「観察力を育てる」具体的な保育の方法
ここからは「観察力を育てる」具体的な保育の方法をご紹介します。
1、毎日の帰りの会で、うれしかったことや「すごい!」と思ったことの報告会を行いましょう
人の考え方ややり方、努力や工夫などは、見えにくいものです。帰りの会であえて、相手との違いや自分にはない考え方にふれて、「自分とは違うけれど、すごいと思った」といった見方ができる機会をつくりましょう。
その際、保育者自身も、「すごい!」と思った子どもを子どもたちに紹介しましょう。認められた子どもは喜び、自信をもちます。
ほかの子どもたちにとっても、こうした紹介も友だちに対する「新しい見方」の発見になり、刺激になります。
表面的な結果だけに終始しがちで、まだ自己中心的な考えをもつのが4歳児です。保育者は、プロセスや主体性(考える・選ぶ・決定する・実行する・やり直す・やり抜く・達成する)などをとりあげて認めるようにしましょう。こうした保育者からの視点を与える関わりや友だちどうしで気づきを発表する体験を繰り返すことで、他の仲間を見る目や観察力は育っていきます。
また、自分と違うけれど他者を認められる力は、根気強く取り組まないと育ちません。とくに子どもは、自分に興味関心が無い物事や人の価値を認めにくく、関わりを避けるものです。この状態を放置しっぱなしでいると、自分とは違う仲間を排除したり、嫌悪感を示したりするような行動や心の育ちを助長してしまいます。
保育者は、こうした状況を防ぐ行動も大切でしょう。
→「『入れて』『ダメ』にどう関わる?」の記事もぜひお読みください。
2、観察力を育てることを目的とした観察画やゲーム・パズルを取り入れましょう
他者への関心や注目、観察力を育てるためには、まねしたり、見比べたりする遊び(まねっこ遊び、伝達ゲーム、パズル)などを取り入れましょう。
特に4・5歳には、観察画がおすすめです。上手に絵をかけるようになることではなく、観察力を育てることを目的とするのがポイントです。
視点をもって、動物の観察を行ってから絵にするといった活動が考えられます。
→観察画については、下記の記事をお読みください。
3、観察力を育てる道具を用意しましょう
保育室に、虫めがねや図鑑、生き物などをコレクションする容器を用意しましょう。また、そこで気づいたことをメモする道具も用意します。画用紙は、観察用に使いやすいサイズであるハガキサイズとその倍のサイズの紙を用意しましょう。
気づいたことや観察したメモ描きは、保育室や廊下など、子どもや保護者に見やすいところに展示して、会話を広げられるようにしましょう。