4・5歳児の7・8月からの保育「コミュニケーション力につながる観察力を育てよう」

4・5歳児の7・8月からは、子どもたちの観察力を育てることを意識した保育を行っていただきたいと思います。

なぜ、観察力を鍛えることが大切なのでしょうか

コミュニケーション力につながることが理由ですが、具体的には下記のような効果があります。

<観察力を鍛える効果>

1、自他の違いを認められる、本物の優しさをもった子になる

2、変化に気づき、対応する力が育つ

3、目に見える勝ち負けに一喜一憂しない子になる

それでは「1」で述べた、人への「本物の優しさ」とは何でしょうか。

例えば、誰かが風邪をひいたとき、花を持ってお見舞いにやってくる人がいたとします。気遣いをうれしく感じると思いますが、本当に「花」が必要だったのかはわかりません。この行動は、表面的な思いやり、ともすれば本人の優しさの自己満足に終始しているかもしれません。

このとき、相手のふだんの振る舞いをよく観察している人であれば、「風邪のときは、いつも〇〇を食べるって言っていたからそれを持っていこう」「弱っている姿を見られたくない人だから、訪問はしない方がいい」などと考えるかもしれません。

本物の人への優しさとは、相手の見えにくい努力や工夫、自分とは違う考え方ややり方などに気づき、相手への敬意をもった言葉かけ・行動です。つまり鋭い観察力がなければ、本物の人への優しさをもつことはできないですし、観察力の鋭い子どもこそ、思いやりのある優しい心をもてるようになるのです。

こういった鋭い観察力をもつ子どもは、いち早く人や身のまわりの変化に気づくことができるので、「2」の場面に応じた対応力も育っていくでしょう。

そして、子どもはいずれ、人との競い合いや勝ち負けのある場面に出合います。そのときにも、「3」の勝ち負けの結果に一喜一憂するだけで終わらない強さをもつことができます。

秋の「運動会」を前に、観察力を育てるという意義もあるでしょう。