造形活動を保育の中心に据えるメリットは何?

「『共育ち』を実現する工作コーナーの作り方」の記事では、工作の目的や工作コーナーの作り方をご紹介しました。

また、これまで造形活動を行う際の子どもへの関わり方についても、さまざまに情報をお届けしてきました。私が、造形活動を中心とした保育の情報をお伝えしてきたのは、私がアートの専門家であり、アート活動を保育に取り入れてほしいという個人的な理由によるものではありません。きちんとわけがあります。

造形活動は、子どもの園生活を支える力になる

描画や工作などの造形活動を行う際、子どもたちは、緻密に考えたり、改善したり、自分なりのアイディアを具現化したりといった体験をしています。描画や工作が上手になると、自分の思いを形づくる力や主体的に表現する力、発想転換力などが高くなります。

造形活動の中で積み重ねた、主体的に表現したり、発想したりする体験は、生活の中で、自分の意見を出したり、友だちと相談したり、折り合いをつけたり、別のアイディアを考えたりといったコミュニケーション力や交渉力のベースになります。

造形活動は、工作が好きな子どもを育てることが目的ではありません。造形活動の中で手指の力や発想力を育てるためだけのものでもなく、子どもが園で(将来にわたってもですが)、質の高い生活を送るための礎になる力を育てるためのものだと、私は考えています。

ですから、保育室に工作コーナーを設置し、造形活動を保育の中心に据えた保育をおすすめしているのです。