動物を「じっくり」観察して絵を描く活動が、「観察力」を育てる

「4・5歳児の7・8月からの保育『コミュニケーション力につながる観察力を育てよう』」の記事で、「観察力」が育つ観察画についてふれました。

今回は、保育への取り入れ方の具体案をご紹介します。

私がおすすめしたいのは、動物をじっくりと観察して絵にする活動です。

動物を触りたがったり、動きをまねて遊んだりするなど、動物に愛着をもっている子どもは多いものです。また、特徴がつかみやすく描きやすい題材です。そういった点で、動物は、扱いやすい題材なのです。

動物の絵を描くまでは、以下のステップで取り組みましょう。

  1. 動物見学の前に、動物のどこを見るか子どもと確認
  2. 動物園で動物を観察
  3. 見てきたことを報告し合う
  4. 動物の絵を描く

1、動物見学の前に、動物のどこを見るか子どもと確認

「どうなっているかな?」という疑問をもって出かけましょう

子どもと動物の絵を描いたり、絵本や図鑑を見たり、動物のまねをしたりする中で、「どうやって寝るんだっけ?」「何を食べるの?」「目はどんな色?」などと、動物にまつわる疑問がわいてくることがあるでしょう。そんな子どもたちの疑問から、この活動を始めましょう

そして上図のような絵を用意し、「ライオンの目はどんな色?」「たてがみはどこから生えてるんだろう?」「象のしっぽってどうなっているんだろう?」「しまうまは縦じま? 横じま?」などと、子どもに動物の形や色などの疑問を投げかけます

そして、「みんなで動物園に行って、観察しよう!」と、子どもたちを誘います。

2、動物園で動物を観察

動物の形や色、動きを観察させましょう

子どもが動物に興味をもっている時期に見学に行くのがいちばんですが、時期でいえば、涼しくなる「秋」に行くのがおすすめです。暑い夏は、動物が寝ていることが多く、動きが少ないためです。

見学前に、子どもたちに疑問をもった動物の形や色、動き、食べ物やうんちなどを観察してくるようにもう一度伝えましょう。

3、見てきたことを報告し合う

事前に見せた図を提示しながら、答え合わせをしましょう

動物園見学後に、「1」の図を見ながら、子どもたちと動物の特徴の答え合わせをします。「オレンジの目だった!」などと、特徴を報告し合いましょう。

事前に「見てこよう」と伝えた動物以外にも、子どもたちが気づいた動物の特徴を報告し合い、「よく気づいたね」「先生も知らなかったよ」などと、認める活動を行いましょう。

この後の描画活動に向けて、それぞれのお気に入りの動物をもつことが大切です。気に入った動物を思い思いに表現させましょう。

4、動物の絵を描く

描きたいものが同じ子たちでグループになり、特徴を確認し合いながら絵を描きましょう

動物園に行って楽しかったときの絵を描こう!

などと誘って、描画活動に誘います。

このとき、動物の絵に限定しなくて構いませんバスに乗ったりお弁当を食べたりした思い出を描きたいという子どももいれば、観察を通して知った動物の特徴を絵にしたいと思う子どももいるでしょう。

まず、何を描きたいか子どもたちに尋ねてみましょう。

そして、「とらを描きたい人集まれ!」などと、描きたいものが同じ子たちでグループになるように促します。そうすることで、「爪があったよ」「そうだっけ?」などと会話が生まれ、図鑑で確認するなどしながら、リアルな観察画が仕上がっていきます。

(描きたいものがかぶらなかった子たちは、その子たちでグループになりましょう)

友達の描いた絵に刺激されて、「やっぱり動物を描きたい!」という声も上がってくるかもしれません。そういった子たちも、新たに別のものを描けるようにサポートしてあげましょう。

<大事なポイント>
絵の上手、下手は問題ではありません。「気づき」が大切です。「爪が丸かったんだね」「しまうまって、足は横じまなんだ!」などと、絵を見ながらよく観察しているところを認めてあげましょう。

また、「きりんには、つのが3つある」などと、観察後に知ったとき、前に描いた絵が違っていることを気にする子どももいるかもしれません。その場合は、つのを描き足せるようにサポートするなどしてもよいでしょう。

このとき紙をつけ足す技も、ぜひ活用しましょう。