新時代の新教育!? 「宇宙教育」ってどんな教育?

質問に「ずれた」回答をすることで、興味・関心を育てる

ー20年前から宇宙教育をされてきたとのことですが、子どもたちへの宇宙教育について大切にされていることは何ですか。

私は、宇宙の知識を教える、ということはほとんどしません。
例えば、はやぶさやイトカワについて教えることはできます。でも、それよりも冒険心やコミュニケーション力など、人間活動の本質に近いところを教えたいと思っています。

だから、子どもの質問には、あえて本来の答えからずらして回答しています。
子どもたちからよく出る質問に「ブラックホールって何でできてるの?」というものがありますが、「〇〇でできているよ」とは答えません。
「えっ、ブラックホールって知ってるの! そういえば、銀河の真ん中にブラックホールがあるって聞いたことがあるなあ」などと回答するんです。

そうすると、子どもは「銀河の真ん中」に興味をもつかもしれませんよね。
興味をもてば、自分で調べるようになります。

質問から得られた興味の火種、それに私が「ふいご」として風を送って、興味の炎を大きくしてやる。そんなイメージで、子どもたちに接するようにしています。

ー「回答をずらす」技は保育者や学校の先生も使えそうですよね。

どんどん使ってください(笑)。

言い方に語弊があるかもしれませんが、子どもの質問を真に受けないことが肝心です。
質問に対してズバリの答えを言ってしまうと、そこでキャッチボールが終わってしまうんですね。ですから、先ほど言ったように、子どもの興味関心を引き出すように、回答をずらしていくといいと思います。

それに、子どもは「知っている」ことを言いたいがために、あえて質問という形でコミュニケーションをとってくることがよくあります。そうしたときは、「すごいね! よく知っているね! どうして知っているの?」と、相手を認めてあげることもポイントです。
子どもは認められることで、さらに自分の好きなことに邁進できます。

宇宙はまだまだ神秘に満ちていて、分からないことだらけです。今ある答えが全てではありません。

それに、人に教えるということは、自分が学ぶ、ということでもあります。
この活動をするにあたって、本当に勉強しましたし、実際に自分の仕事の中でも生かされているので、自分のためにもなっています。

これからも自分自身が学びながら、「宇宙教育」に携わっていきたいですね。