10〜12月は、個々のスキルアップを図りたいとき
10〜12月頃の子どもたちは、園生活にも慣れ、友達関係の深まりとともに強い自己主張が始まります。
はさみを使いたい!
〇〇ちゃんみたいに、逆上がりができるようになりたい!
などという欲求を示す子どもも出てくるでしょう。
10〜12月の3か月間は、なるべく一人ひとりのそうした欲求に応え、それぞれの子のスキルアップを図る関わりを行ってください。
「自分はこれが得意!」という自信が、心の余裕をつくる
毎日忙しい保育者の皆さんに、「一人ひとりの欲求に応えること」を求めるのは重荷だと感じながらも、お願いするのには理由があります。
10〜12月頃は、子どもたちの能力差が拡大する中で、
できない。もういやだ!
あの子とは一緒のグループになりたくない
などといった自己主張が強まるので、子どもが荒れたり、仲間外れをしたりといったトラブルも生じやすいのです。
そんな時期だからこそ、保育者が子どもそれぞれのスキルアップのサポートを行い、「手裏剣作り名人」「泥団子職人」「縄跳びマスター」「片づけ上手」など、その子なりの得意分野を伸ばしていくと、「自分はこれが得意!」という前向きな自信が育ちます。
得意分野が伸びると、相手を思いやる心の余裕ができるようになるものです。そのため、友だちを尊敬したり、支え合ったり、教え合ったりというムードができていくのです。
「〇〇くんは、先生よりもっと上手だよ。泥団子は、〇〇くんに教えてもらうといいよ!」などと、本人のいる前で声をかけましょう。そして、子どもたちで支え合い、教え合う関係づくりも行いましょう。
スキルアップについて、よくある子どもたちの要求へのサポート法を少しだけ紹介します。
年齢別のスキルアップ サポート法
0歳児 | はいはいをしたい子、歩く子などが出てきます。動き方が違うことで、安全に遊ばせられないと感じるときには、サークルなどを使って、それぞれの子の遊びを保障しましょう。 |
1・2歳児 | 知らないものを見たり、のぞいたり、走りまわったりしたい時期。その中で、天井や遊具などに頭をぶつけてしまう子どもは、身体の大きさの感覚が育っていないケースがあります。トンネルくぐりなどを通して、自分の身体の大きさと空間認知能力を育てましょう。 |
2・3歳児 | 描画活動やブロックを積み上げる、ボールを投げるなど、やってみたい意欲が強くなる時期。手本を見せたり、ステップアップ式でやり方を教えたりしながら、うまくいくようにサポートしましょう。 |
3・4歳児 | ボタンを自分で留めたい、はさみなどを使いたいといった欲求が強くなり、懸命に取り組むものの、まだ手指が自由に使えないために思うようにいかず、かんしゃくを起こしやすい時期。手本を見せたり、作るものを簡単にして最後だけできるようにしたりするなどのサポートを行いながら、「できた!」という満足感を味わわせましょう。 |
4・5歳児 | 友だちと遊びたい気持ちが強い時期。しかし、友だちに負けたときなどの悔しい気持ちを、うまく収められないことも。自己コントロール力は、5・6歳児に向けて育っていくものです。トランプなどをやる際、4・5歳児では、グループ対戦にすると、悔しさや悲しさを共感できる相手ができて、気持ちのコントロールがしやすくなります。 |
5・6歳児 | 遊びながら、オリジナルのルールを考えたり、いくつもの選択肢や方法からよりよい方法を考えたりする体験を積み重ねたい時期。トラブルはつきものですが、保育者が解決方法を提示するのではなく、「本当にそれでいいの?」「どうしたらいい?」「〇〇くんは、困っているよ」などと問いかけ、グループやクラスで話し合う機会を大切にしましょう。 |
また、1〜3月は、12月までに身につけた力を習熟させたい時期です。細かな技術は12月頃までに教えて、1月以降はそれらを使って遊び、考え、深める時期にしましょう。