否定しないことで、やりたいことに挑戦できるように
事業は実にさまざまですが、どの事業にも共通しているのが、どんな事業をするか子どもたち自身が考え、そのために必要な準備まで自分たちで行うこと。そして、事業を通して、社会をよくすることも考えている、ということです。
「子どもたちは、自分の夢を事業として叶えた先に、どんな社会の困りごとを解決できるか考えます。例えば「スキー選手になりたい」というプレナーさんには、スキー場を作るには、森林伐採をしなければいけない、ということを伝え、それをどうやって解決するか、ということも一緒に考えます。」(白井さん)
その時、キーワードになるのが、持続可能な社会を作るための国際目標である、SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))です。
「海にゴミがたくさんあることに怒っている子がいました。でも、その子に、プラスチックゴミの排出量について、日本が世界2位だと教えると、とてもショックを受け、『もっと早く知りたかった』と言っていました。こうした問題はSDGsでいうと、14(海の豊かさを守ろう)などに該当します。SDGsは社会人教育でも難しいと言われていますが、今ではどのプレナーさんにSDGsについて質問しても、しっかり答えられます。」(白井さん)
こうして、どんな事業をするかを考えたら、それを「ゆめピッチ」という場でプレゼンし、事業計画を立て、3か月の間、仕入れやお店作り、衣装作りなど、具体的に準備を進めていきます。
この日はその集大成、というわけです。
こうした体験を通して、みんな驚くほど成長していくそうです。
「最初の頃はみんなシャイで、『発表したい人!』と聞いてもシーンとしていたり、手が挙がらなかったり。でも、とにかく否定せず、「それ、いいね!」「これはどうかな?」と、メンターたちが盛り上げていくことで、どんどん積極的になりました。今では、参加している大人たちに『あなたの夢はなんですか? 私の夢は…』と語りかけるほどになりました。みんな、自分の夢を話したくてしょうがないんです。」(白井さん)
「大人になると、やりたいことがあっても、『できないんじゃないか』と考えてしまいがちですが、子どもは楽しければ『やろう!』と考えますよね。だから、このイベントが、やりたいことに向かって挑戦する原体験になってほしいと思っています。」(白井さん)
こうした体験は、いつでもどこでもできるわけではないかもしれません。
でも、子どもがもっている問題意識を「大した問題じゃない」「それは無理」などと頭ごなしに否定せず、どうやったらできそうか一緒に考えることが、主体的に動くこと、そして、将来の仕事につながるのではないでしょうか。
キッズアントレタウンは今後も開催予定とのこと。
参加する子どもたちだけでなく、手伝ってくれる大人たちも常に募集しているとのことなので、興味のある方はチェックしてみてください。