[Report] 英語は何歳から? 幼児期の英語教育について学ぶ研修会にお邪魔しました・前編

2020年度から、小学校5、6年生で英語が教科に。さらにその次年度からは中学校で英語の授業が英語で行われることになります。英語教育の早期化が制度レベルで進行中ですが、「英語は何歳から学ぶべき?」についてはまだ議論の余地があるようです。

そこで、英語の早期教育の現状を探るため、幼児の英語教育の理論と実践を学ぶ、幼稚園教諭・保育士向け研修会にお邪魔してみました。

小学生が英語で道案内!? これからの子供に求められている英語力に驚き

研修が行われたのは都内の保育園(バイリンガルプリスクール)「NYこどものくに<東京>」。

参加者はいずれも現役の幼稚園教諭、保育士で、休みの日に研修に参加されるだけあり、勉強熱心なかたばかりでした。

座学とワークショップの2部構成の研修会は、発達心理学の専門家である目白大学の小野寺敦子先生の講義からスタート。

小学校以降の英語教育の動向を話す中で、「小学生が英語で道案内できるようにする」という指導案が紹介されたときは、「そんな難しいことまで!?」と驚きの声があがりました。

続いて子どもの言語能力の発達のお話。

赤ちゃんの発する「喃語(「バブー」「バブバブ」など)」には世界中の全ての言語の発音が含まれているのだそうで、これには私も含めて「へえ〜」の声。

※赤ちゃんはあらゆる発音をもって生まれ、成長と共に耳にする音(母親の声など)に含まれない音を失っていき、その結果母語を獲得します。

発達段階は概ね、

・生後2カ月からクーイング(「あー」「あうー」など)、4カ月から喃語を発するように

・1歳後半頃には2語文(「ママ、キタ」など)を発し始め、語彙が20前後に

・2歳をすぎると語彙が一気に増え、3語文も発するように

と進みます。

特に2歳代に著しく言語能力が発達します。この時期には既に、英語を学ぶ素地はできているといえそうです。

英語の音にふれるのは、早いほどよい? 「臨界期仮説」

いよいよ本題。

「英語を何歳までに学ぶべきか」については、第二言語獲得の「臨界期仮説」という説がひとつの手がかりになるようです(「仮説」と名前にあるとおり、議論の余地はありますが)。

臨界期とは「脳の発達過程の中で神経回路が活発に変化する期間の限界」のこと。臨界期までが言語の習得に最適な時期であり、逆にこの時期を逃すと「なかなか身につかない」ということになります。

これが何歳か、には諸説ありますが、概ね言語の獲得については12〜13歳。ただし、発音に限ってはずっと早く、5〜6歳という説があるようです。言語能力の発達が著しい2歳からこの時期までが、特に英語学習において重要な時期と言えそうです。

しかし一方で、「臨界期にふたつの言語に接していると母語が混乱する」という説もあるそう。確かにそうかもしれません。ではどうすればいいのでしょうか?

「幼児期は、母語としての日本語力をしっかりとつけながら、英語の音やリズムに親しんでおくことが大切」と小野寺先生。日本語で考える力は英語で考えたり表現したりする土台にもなるので、日本語力が伸びれば英語力も伸びるのだそうです。

実際、「NYこどものくに<東京>」では、英語に親しみながら、日本語力も大切にしているとのこと。英語教育というと、国語の勉強とは別の話ととらえがちですが、両輪で育てていくことが大切なのですね。

研修はいよいよ実践に進みます。発達を踏まえた幼児の英語教育の実態とは?

詳しくは後半をご覧ください。

※次回の研修は9月に予定しているとのこと。詳細がわかり次第、またこのサイトで告知します!