臆病で神経質なイノシシ。でも、ピンチのときは…
イノシシは冬に繁殖行動を始め、春に子どもを産みます。
子どもは肉食動物や猛禽類(ワシ・タカなどの鳥)に襲われて死んでしまうこともあるためか、一度に産まれる子どもは2〜10頭程度と多めです。
子どもは頭の後方から尻尾にかけて、白っぽい縞模様が走っていて、これが野菜の瓜の模様に似ていることから、「ウリ坊」「うりんこ」などと呼ばれています。
この縞模様は、授乳が終わる生後4か月頃には消えていきます。
授乳が終わると、母親と一緒に森の中などを歩きまわり、自分で餌を取るようになります。
イノシシは植物食の傾向が強い雑食性で、さまざまなものを食べます。
ニュースなどで、イノシシに畑が荒らされるなどの報道がありますが、たとえばサツマイモなどは大好物のようです(私も畑でイノシシの足跡や、地面を掘り返した跡を見たことがあります)。
また、昆虫やミミズなども捕食します。
このようにいろいろなものを食べる食性のためか、子どもは母親が食べるところを見て、何を食べれば良いのかを学んでいきます。子どもは、親の真似をして育っていくわけです。こうしたところは人間の親子と同じですね。
人里や街中に現れることもあるイノシシですが、本来はとても臆病で警戒心の強い動物です。
人はもちろん、普段目にしないものなどは、なるべく避けようとする性質があります。
そのため、基本的には人を見かけると逃げ出しますが、いきなり出会ったり、興奮しているイノシシに不用意に近づいたりすると、突進してくることなどがあります。
イノシシの突進力は非常に強く、特にオスの牙は鋭いため、ぶつかったら大怪我をする可能性があります。
さらに、子どもを連れた雌はナーバスになっていて、より危険なのだそうです。子どもを守るために必死なのかもしれませんね。
こうして母親に守られながら育つ子ども達は、次の年に母親が新しい子どもを産む頃、つまり1歳ごろに、母親の元を離れ、独立していきます。
大人になると迫力満点のイノシシでも、子どもの頃がかわいいのは、他の動物と同じ。そんなイノシシが登場する本を紹介します。
山でおじいさんに拾われたウリ坊が、孫の家で大きく育ち「ウリオ」に大変身。でも、大きくなったウリオは家族からのけ者にされ家から脱走。ウリオの運命やいかに。ペットの命についても考えさせられるストーリーです。
やまんばの娘「まゆ」が、山で母親イノシシからはぐれたうりんこを見つけます。うりんこのお母さん役をかって出たまゆが感じたさまざまな気持ち…。お母さんのことを考えるきっかけになる絵本です。
丹精込めて育てたサツマイモがイノシシ親子に盗まれた! 腹を立てるおじいさんに対して、イノシシをはじめとする動物たちは「芋は自然に大きくなった」「人間が勝手に畑を作った」などと反論。果たしてどちらの言い分が正しいのか、大人も子どもと一緒に考えてみるといいですね。
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