[保育する生き物 FILE3] 命をかけて卵を守る! タコの壮絶子育て

こんにちは。生き物大好きケンタローです。

これまで、ツバメ、トラとその保育を紹介してきました。

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今回の主役は、食べる方で身近な「タコ」です。

octopus

以前釣れたタコ。小さく若い個体でした。

まずはタコの基本情報から。

なお、日本で一般的な、食用の「タコ」には、マダコ、イイダコ、ミズダコなどがいますが、今回は「マダコ」を取り上げます。

イイダコは、手のひらサイズの小さなタコ。ミズダコはその逆で、体重30〜50kgほどにもなる、世界最大のタコです。

分類 タコ目マダコ科マダコ属
大きさ 60cm、2〜4kg程度
住んでいる場所 浅い海の岩場、堤防など
食べ物 カニ、二枚貝など

1か月間、何も食べずに世話をする母ダコ

タコは繁殖期は、主に春から初夏にかけて。

この時期になると、メスは岩の下などに卵をたくさん産みます。その数は10〜20万個とも言われていて、岩などからぶら下がっているその様子が、藤の花のように見えるため「海藤花(かいとうげ)」とも呼ばれています。

そして、タコの子育てはここから。メスは卵にずっと付き添い、漏斗(体に取り込んだ海水を出したり、墨を吐いたりする筒のような器官)で卵に新鮮な海水を送り込み、酸素不足にならないようにします。また、腕で卵の汚れを拭うなどのお世話も。もし、この世話がなければ、卵が全く孵化しないという調査結果もあるほど、大切な行動です。

また、卵は魚などに狙われやすいため、そうした敵から卵を守るのもメスの役割。卵から離れることができないので、メスは何も食べずに、体の中に蓄えた栄養を使って、卵が孵化するまでつきっきりで世話や保護を行います。

こうして、産卵から約1か月後に卵が孵化しますが、メスはほとんどの場合、子どもたちが海の中に旅立っていくのを見守ってから、力尽きて死んでしまいます。
まさに命がけですね。

ちなみに、イイダコやミズダコも、体の大きさや卵を守る期間などの違いはあるものの、同じように卵の世話をします。
他にも、4年5ヶ月もの間、卵を守ったタコの例もあるそうです。

鳥類や哺乳類は、保温が必要な卵を産んだり、親からお乳を与えなければいけない、といった生態ゆえに、ほとんどの場合、何かしらの子育てをするのですが、それ以外の生き物では、卵を産んだらそれで終わり、など、子育てをしないものも多くいます。

そんな中で、命をかけて卵を守るタコは、 ちょっと珍しい存在といえるかもしれませんね。

タコは古くから日本人に馴染みのある存在。タコをモチーフにした本もたくさんありますので、ちょっとご紹介します。

「ちゅうちゅうたこかい…」の後に続く「な」のつく物が、タコツボから出てきます。中には意外なものも!? ラストもクスッと笑える楽しい絵本です。

主人公のタコさんのお弁当屋さんはちょっと変わったお弁当屋さん。お客さんはなんと弁当箱! 8本の足で手際よくタコさんが詰めた弁当はどれもおいしそうで、子どもも興味をもちやすいですね。

タコの詳しい生態や、色々な種類のタコのこと、そのほかにイカのこともわかる本。タコやイカに興味がある人はぜひ。