オスが親子を襲う!? 子どもを守るのも、メスの役割
そして、さらに大変なのは、子どもが独立するまで、子どもの親ではない別のオスのトラから子どもを守らなければいけないこと。イエネコや同じ食肉目のクマなどでも見られる行動ですが、オスが自分の子どもではない子を連れたメスに出会うと、その子どもを殺してしまうことがあるからです。
実は、子どもがいるメスは、子どもが独立するまで育てなければいけないため、次のオスを受け入れる準備ができていません。ところが、子どもがいなくなると、メスはオスを受け入れる準備ができるため、自分の子孫を残したいオスは、子どもを殺そうとするわけです。もちろん、メスは自分の子どもを殺されまいと、必死で抵抗します。
トラの子育てにはこんな大変さもつきまとうのです。
現在、野生のトラは、世界で数千頭しかいないとされています。トラのように生態系の上位に位置する生き物は、もともと個体数が少なく、たくさんの食べ物や広い行動範囲が必要でもあるため、個体としての強さとは裏腹に環境の変化に弱いことが多いのです。トラもまた、絶滅が心配されています。
動物園では、そんな貴重なトラを飼育し、繁殖する取り組みもされています。動物園でトラの親子を見ることがあったら、自然の中での厳しいトラの子育てについて、思いを巡らせてみてください。
子どもと一緒に読めるトラの本を3冊紹介します。
トラの顔の写真が、実物大で載っていたり、ダイナミックな動きのトラの写真があったり。トラの生き生きとした様子が伝わります。
透明なフィルムによるしかけで、トラの特徴がよくわかります。トラ以外のネコ科動物も少し紹介されているので、子どもの興味がさらに広がるかも。
とあるトラの親子を追った、ドキュメンタリー。物語になっていて子どもも親しみやすい展開になっています。