運動会前後は、「徒競走での順位づけは、運動が苦手な子がかわいそうだからやめてほしい」、「〇〇組のダンスは××組より完成度が低い」といった勝敗や出来不出来に関する要望やクレームが、保護者から上がることがあるかもしれません。
それは、保護者のかたに運動会のねらいが伝わっていないことがひとつの原因となっているからです。
運動会のねらいは、例えば以下のようなことでしょう。
- 身体を使う楽しさを味わう
- 表現力や伝え合う力を育てる
- 友達と協力し合うよさを味わう
- 協働力を養う
- 友達との連帯感を育てる
※リレー競技での「足の遅い子の周辺で起きるのトラブルの解消法」は、「4・5歳児1年間の保育のポイント①」の記事でもお伝えしています。
運動会で大切なのは当日の完成度ではなく、練習の過程であらわれてくる子どもの成長や変化です。そうした子どもの姿を、運動会や種目ごとのねらいとともに運動会前に保護者に共有しましょう。
方法としては、運動会当日までの様子を、おたよりや掲示などを通して伝えるといいでしょう。
例えば、「転んでも泣かずに走りきるとみんなで決めたので、その様子を見てください」といった当日に注目してもらいたい部分や、「勝つために子どもたちが考えだしたアイディア」、「運動会をきっかけに自信や責任感が育ってきた日々の発言や様子」などの成長の様子をエピソードとともに説明すると、保護者によく伝わります。
こうした機会を設けることは、日々の保育者の子どもたちへの思いを保護者に伝えるチャンス、また信頼関係を築くきっかけにもなります。
運動会準備で忙しく、大変な時期ではありますが、ぜひ時間を見つけておこなってみてください。
また、経営者と保育者、または保育者間でも、見栄えや出来不出来を重視する人とそうでない人の間で、意見の食い違いが起きることもあります。
その場合も、「何をゴールとするのか」「子どもが主体的に取り組める運動会にするには、どうすればいいのか」というように、運動会のねらいや目的を、子どもの立場や育ちを考えながら、話し合えるといいですね。