幼児クラスでは、日々の係や当番など、生活をともにするグループを用意している園もあると思います。
後半期になると、グループの友だちの性格や得意・不得意がわかるようになってきて、支え合う姿も見られるでしょう。そのような関係性の成長には、目を見張るものがありますね。
ただ、グループ内での支え合いというのは、プラス面ばかりではないのです。
例えばこんなくせがついているグループはないでしょうか。
●グループに1人ボス的存在の子どもがいて、その子の意見で物事が決まることが多い ●依存体質の子の面倒を、誰かが見てあげている……など |
このようなくせが見られるときには、グループ替えをおすすめします。
「せっかくまとまってきたのに、グループ替えなんて……」という気持ちもわかります。
しかし、子どもたちの将来のことを考えると、グループ替えは貴重な成長のきっかけなのです。
特に私が注意してほしいと考えているのは、依存傾向の強い子どもです。
これは、例えば生活でこのような様子が見られる子どものことです。
●遊びでは大変なところには加わらず、楽しいところだけに加わる(道具を作るところには加わらず、できた完成品を借りて遊ばせてもらっている など) ●困ったことがあっても、誰かが声をかけてくれるまで待っている ●おっとりしていて、係活動などを友だちに手伝ってもらっている ●泣いたり、甘えたりして、助けてもらおうとすることが頻繁にある |
このような経験をし続けると、「自分がやらなくても、誰かがやってくれる」「人にやらせて、あとでお礼でも言っておけばいい。それが一番ラクだし、効率的」といった発想を身につけてしまうかもしれません。
また、いつもラクで楽しいときだけ、遊びに参加してきた子どもは、物事を最後までやり抜いた経験が少ないもの。
このような子どもは、小学生以降、宿題や任された仕事を計画的に進める方法がわからなくなります。
また、最後までがんばったからこそ得られる喜びを知らないので、最後までやり抜く強さがもてないのです。
だから、グループ替えをおすすめしたいのです。
グループ替えのポイント
少し意地悪に聞こえてしまうかもしれませんが、グループ分けの仕方はこうです。
「ボスタイプ」の子、「依存傾向」の子をまとめたグループをつくるのです。
こうすると、依存傾向の子たちも、必ず自分たちで物事を決め、進めていかなければいけません。
「ボスタイプ」の子たちも、がまんしたり、譲り合ったり、折り合いをつけたりするよい機会になるのです。
依存傾向の強い大人にしないように
依存傾向が強い子どもは、大人になっても大変です。
人に仕事を任せたり、失敗しても責任逃れをしたり。目標を決められないので、言うことがコロコロ変わったり……。一緒に仕事をする仲間に、一番の厄介者として扱われてしまいます。
だからこそ、私はこの時期、依存傾向の強い子どもには手をかけて保育をしてほしいと考えています。