劇にしやすく、演じやすい劇の題材の選び方

「0〜6歳児それぞれの年齢に合った劇活動のポイント」で、劇作りをおすすめしました。

今回は、劇にしやすく、演じやすい典型的な絵本のパターンをご紹介します。

1、繰り返しのある問題解決型

例 「おおきなかぶ」

「おおきなかぶ」は、なかなか解決できない問題(抜けないかぶ)を、力を合わせて解決していくお話です。話は少しずつ展開してはいきますが、ひとつの場面を繰り返しています

こういった場面展開が少ない題材は、子どもたちにとって内容が理解しやすいのです。

また、場面がひとつということは、多くの小道具の準備もいらないということでもあります。子どもたちにふさわしい劇でありながら、保育者の負担が少ないという点でも、ぜひおすすめしたいのが「繰り返しのある問題解決型」のお話です。

2、ひとつの場面を楽しむ型

例 「てぶくろ」

「てぶくろ」は、次のような展開です。

おじいさんが落としてしまった手袋をねずみがすみかにしていると、次々に「わたしも入れて」と動物たちが仲間入りしてきます。カエルやうさぎのほかにも、オオカミやイノシシまで加わってくるので、子どもたちは、「もう入れないよ!」という不安を抱えながら次のページをめくると、入れてしまうという驚きと喜びが繰り返し味わえる楽しい絵本です。

このようなひとつの場面で展開するタイプのの絵本も、「おおきなかぶ」同様に場面がひとつで繰り返しが多いため、子どもたちに場面のイメージがしやすいのです。

また、「てぶくろ」の題材の魅力は、友だちとわいわい言いながら、密着していく楽しさがあります。

3、ピンチ解決型

例 「三びきのこぶた」、「三びきのやぎのがらがらどん」

「三びきのこぶた」も「三びきのやぎのがらがらどん」も、ほかの生き物に襲われそうになってしまうピンチに遭遇ながらも、知恵を絞ってピンチを乗り越えていくお話です。

このような題材は、子どもたちが演じたい劇的な場面が明確で、内容をイメージがしやすいでしょう。

そして、人気のある劇的な場面を、子どもたちと一緒に再現遊びして楽しむことから、劇作りをすすめることができます。また、どう解決していくかを考えたり、アレンジしたりすることで、問題解決力や交渉力なども育める題材です。

また、子どもは戦いが好きでも、殺されるのは嫌いなことが多いですね。「殺されるからやりたくない」「殺されたくない」という声が出たら、そこを楽しく変えたり、やられて終わりではない話にアレンジしたりするのもおもしろいでしょう。

4、問題解決に向けた旅もの型

例 「ももたろう」、「ブレーメンのおんがくたい」

桃から生まれてきた「ももたろう」は、悪事を働いている鬼退治にいく勇気あるお話。

「ブレーメンのおんがくたい」は、ロバ、犬、猫、おんどりとともに、ブレーメンの街の音楽隊に入ろうと旅をする中で起きる問題に、力を合わせて戦っていくお話です。

旅や探検をする中で起きる問題に果敢に立ち向かうストーリーは、子どもたちに人気があり、子どもたちも興味をもって取り組むことができるでしょう。

こういった題材は、場面が複数に展開されていきますから、ストーリーとして展開していく場合は、4〜6歳児向きといえます。

登場人物や「ももたろう」の桃などを別のものに変えて、「このキャラクター(や道具)だったら、どういうセリフを言いそう?」などと話し合いながら、動きやセリフ、衣装を考えるなどのアレンジを加えることができるでしょう。また、ミュージカルテイストにすることも可能です。

これは、子どもたちが主体的に劇を作っていく活動にしやすい題材といえます。

以上が、劇にしやすく、演じやすい4つのパターンです。

ここでは、有名な絵本などを例に取り上げましたが、子どもたちが気に入っている絵本の中でこれらが当てはまり、身振り手振りの演技ができそうなお話なのか、ストーリーや配役、起承転結が明確なのかを見極めれば、他の絵本でも劇作りに展開できるでしょう。絵本をきっかけに、子どもたちと再現遊びをすることから始めてみてください。