遠近法や色の濃淡など…「本物らしく描きたい!」をサポートする関わり方

5・6歳になると、「家が奥の方にあるように描きたい」「人が走っているところを上手に描きたい」などと、絵を本物らしく描きたい欲求が出てきます。

頭に理想の絵があるのにうまく描けずにイライラしていたり、「どうしたらいい?」と保育者に相談してきたりする子どもがいると思います。このような「本物らしく描きたい!」という欲求に応えるサポートを、3つほどご紹介します。

子どもの悩み1

「象の耳が描けない!」

横向きの象を書いたあとに、「身体と同じ色の耳が描けない! 描いても消えちゃう…」という悩み。子どもからよく相談される悩みです。

解決策

「絵の具を2色用意しましょう」

身体の色より少し濃い色の絵の具を用意してあげましょう。濃い色を使って上から重ねて描けば、思い通りに耳を描くことができます。

子どもの悩み2

「足を振り上げているように描きたい!」

<子どもの理想の絵>

  

運動会のあとは、走っているところや鉄棒で逆上がりをしているところなど、難度の高い絵を描きたがる子どもが増えます。しかし、遠近法を使って描くのは難しく、直立したような絵ができてしまい、悲しむ子どもに出会うかもしれません。

解決策

「後ろ足を濃く塗って、それらしく見えるようにしましょう」

  

奥行き感を出すには、色の工夫でもそれらしく見せることができます。これも遠近法のひとつの技術。上の絵のように、後ろ足を濃い色で塗ると、それらしく見えるようになります。既に描いてしまった絵も、こんなひと工夫で満足度の高い絵に変わります。

子どもの悩み3

「滑り台で滑っている絵を描きたい!」

<子どもの理想の絵>

 

道に対して身体が起き上がっているという絵は難しく、道に寝そべっているように見える絵になってしまうことが多いものです。

 

解決策

「人間を切り貼りして、立体にしましょう」

道の絵の上に人間の絵を重ねて貼れば、立体的な絵になります。「貼る」というアイディアも、立派な解決方法のひとつなのです。

描画活動での工夫は、子どもたちの発想力を柔軟にします。また、「どうしたらいい?」と前向きに考える、問題解決的思考力を伸ばします。

理解できそうな子には、簡単に遠近法のテクニックを教えても構いませんが、今後、学校の授業で習うものです。今は柔軟な発想を育てるチャンスとして、切り貼りのようなテクニックを教える機会とするのもいいと思います。

保育者も、子どもの描画活動を柔軟に応援する姿勢で、子どもに関わってみてください。