「共育ち」を実現する工作コーナーの作り方

「工作の目的は何でしょう?」とみなさんに伺うと、「思考力」、「探究心」、「表現力」、「創意工夫する力」、「創作力」、「手指などの力」、「自己効力感」をの育成などの意見をあげてくださると思います。

確かに、与えられたもので遊ぶのではなく、自分で作ったものから新しい遊びを生み出すなかで培われるこれらの力は、社会でも役立つ重要な力です。

ただ、工作の目的はそれだけではありません

工作は目に見えるもの。目に見える作品を通して、子どもどうしで「〇〇ちゃんすごい。ぼくも作りたい! どうやるの?」と教え合ったり、「あっ、いいこと思いついた!」などと友だちの作品からひらめきを得たりするなど、教え合いやコミュニケーション、またコラボレーションへとつながるきっかけになるのです。

このように、保育で工作をする際、「今日はこれを作りましょう」といったように目的として利用するのではなく、個々の能力の育成と子どもの関係性づくりの手段として活用していただきたいと思います。

今回は、そのための工作コーナーづくりのポイントをご紹介します。

ポイント1

子どもの遊びを想定して、材料を用意する

子どもがやりたがる遊びを想定して、あらかじめそれに必要になりそうな、紙類や描画材、空き箱、廃材、自然物などを用意しましょう。

<参考:幼児の好きな遊び>
◎世話遊び系…おうち、ままごと、料理、お風呂
◎なりきり遊び…ミニサイズの見立て遊び
◎仕事ごっこ系…お店屋(ジュース屋、アイス屋、パン屋、ラーメン屋、うどん屋、パスタ屋、レストラン)、スーパー、病院、園、小学校、動物園、水族館、お化け屋敷、釣り堀、劇場、博物館、温泉、遊園地
◎乗り物系…電車、新幹線、バス、乗用車、働く車、飛行機、飛ばす玩具
◎探索・構成・知育、手作りおもちゃ系…手作り絵、すごろく、ボウリング、的当て

子どもたちが自由に材料を取り出して使える棚の作り方については、以下の記事でご紹介していますので、こちらの記事もご覧ください。

子どもがすぐに使えるものを保育室に置く

ポイント2

保育者の居場所の横に工作コーナーを作る

保育者の情報発信基地(保育者の居場所)(くわしくはこちらの記事をご覧ください)の隣に、工作コーナーを設置して、すぐに保育者が対応できるようにしましょう。

ポイント3

椅子は不要! 工作専用の台を設置する

工作専用のテーブルを用意しましょう。傷や汚れが気にならないように、合板の板を載せることをおすすめします。テーブルでもよいですが、カラーボックスふたつを横に並べて、合板をのせたものの方が、工作に必要な道具などを収納するスペースができて便利です。

手段として工作をする場合(作ったもので遊ぶ場合)、多くの場合は子どもたちは遊んでいたところに戻っていきます。ですから邪魔になることが多い椅子は、基本的に設置せず、立つか、ひざ立ちで作業することを想定してよいでしょう。じっくり取り組みたいときだけ、個人の椅子を各自が用意すればいいと思います。