新年度、3歳児の保育を安定させるために

いよいよ新年度がスタートします。保育を安定させるために、どのようなことを心がけるとよいでしょうか。

今回は、3歳児クラスにおける、準備や心がけをご紹介します。

心がけ① 早めに担任への信頼感をつくる

新入児が加わったり、教室や担任が替わったりして、慣れない生活に戸惑う子どもがいる時期です。

保育者が新入児や泣いている子ばかりに手をかけ、それ以外の子どもたちを放置するような状況が続くと、安定していた子どもたちまでも不満や不安感が強くなり、落ち着かないクラスになってしまいます。

安定していた子どもも、「先生は、ぼくたちの気持ちに寄り添ってくれない」と感じると、退行行動が出てくるもあります。

これを防ぐためには、「〇〇をして遊びたい!」などと、前向きに保育者に働きかけてくる子どものサポートから優先的に始めることが大切です。この子どもたちの希望に応え、自主性を引き出す関わりをしていきましょう。そうしながら新入児などには、在園児の自立的な生活や遊びの輪に入れるように声をかけ、サポートしましょう。

そうすることで、担任への信頼感も、クラス全体のまとまりも育ってくるでしょう。

副担任が介入しすぎると、子どもたちが甘えすぎたり、依存しすぎたりして、結果的に自分のやりたいことを見つけるまでに時間がかかってしまうことがあります。子どもたちを導くのは1人の担任が担い、補助の副担任は必要なときだけ入ることをおすすめします。

関わり② クラスの中に、お気に入りの遊び場所をつくる

3歳児は、子どもによって興味・関心や得意・不得意に違いが見えてくるでしょう。

一人ひとりがやりたいことを見つけ、自己効力感を味わえるまでのサポートをするための「自分づくり」を支えていきたい時期です。

そこで、それぞれの子どもが、自分のクラスにお気に入りの遊びを見つけられるような、遊びの環境づくりを強化することが大切です。

子どもの多様な興味に対応するためには、以下の8つのコーナーを設置することをおすすめします。

◎ままごと・調理コーナー…レジを用意して、食べ物屋さんなどのお店屋ごっこに夢中になれる環境づくりや、広いキッチン台のある料理コーナーづくりをしましょう。こちらの記事もお読みください。

◎お店屋さん…身近な食べもの屋さんができるようにしましょう。

◎乗り物…電車やバス、乗用車などの乗り物と線路や車庫、道路などの見たて遊びに、集中して遊べるコーナーづくり。ミニサイズまたは、大きいサイズで用意しましょう。

◎お家コーナー…ミニサイズのお家だけでなく、等身大の出入りできる家や基地となるサイズのお家も人気です。ぜひ少しずつ用意してみましょう。

◎絵本コーナー…こちらの記事もお読みください。

◎積み木ブロック・知育系コーナー…積み木、パズルなどを用意しましょう。

◎製作コーナー…いろいろな紙、空き箱やプラ・紙カップ、不要な生活用品、クレヨン、マーカー、はさみ、セロテープ類、年度、木材、葉っぱなどの自然物などを適宜用意しましょう。製作コーナー専用のテーブルも用意して、工作スペースをつくりましょう。

◎保育者の情報発信コーナー…幼児クラスには必要な保育者コーナーです。近くに製作コーナーを設置しましょう。こちらの記事もお読みください。

これらを用意して、子どものニーズや流行に合わせて、拡大縮小したり、撤去したりするようにしましょう。

室内が狭く、全コーナーが作れない場合は、「箱カバン」のアイディアも参考にしてください。

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3歳児クラスになると、1階から2階フロアに保育室が移動になるなど、大きく保育室が変わる場合もあります。

5月の初め頃までは、2歳児の3月頃に子どもたちが気に入っていた遊び道具を新しい保育室に持っていき、引き続き遊べるようにすると、安心感につながります。

子どもたちそれぞれが、自分のやりたいことを見つけ、自己効力感を味わえるまでのサポートをしながら、絶対的な保育者への信頼関係を早めの時期に築くようにしてください。