ミスをしながら考えることが、プログラミング的思考のカギ
ーそもそもどうしてプログラミング教室をやろうと考えられたのでしょうか。
ーそもそもどうしてプログラミング教室をやろうと考えられたのでしょうか。
私がプログラミングを本格的に始めたのは大人になってからですが、私が作ったプログラムが人の役に立ったとき、これはおもしろい、と思えたんです。
この技術を生かして何かにチャレンジできないかと考えたとき、子ども向けのプログラミング教室を思いつきました。
なぜ、プログラミング教室なのか、理由はふたつあります。
ひとつ目は、ITに小さい頃からふれることで、ITスキルのベースを身につけてほしいからです。
すでにITスキルは仕事をしていくうえで必須のものですよね。もちろんこれからもそうだと思います。
そんな環境の中では例えば「エクセル、パソコン、わかりません」では済まされません。
そのためのベースをつくっておく必要があるのではないか、と考えています。
2つ目は、身のまわりのものが自分で作れる、という感覚をもってほしいからです。
自分の思ったものが作れる、人の役に立つものが作れる、という感覚は、モノを生み出す原動力になります。
余談になりますが、システムエンジニアの仕事は、原価がかからないので、安く買い叩かれることが多いんですね。
それに、「マジコン」(ゲームのデータをコピーするなどして、対応するゲーム機器で起動・プレイできるようにする機器の総称)のように、プログラムを気軽に不正コピーして使用することも横行しがちです。
でも、プログラムを作った経験があれば、プログラムを作ることがいかに大変で価値があることかがわかります。
また、そうした苦労を知っておくことは、自分が考えたものや人の役に立つものを作りたいという気持ちにつながるとも思います。
ー2020年から小学校で行われる「プログラミング教育」でも、ITに触れること自体を目的のひとつにしています。また、「プログラミング的思考」を養うことも掲げられています。この「プログラミング的思考」という言葉がちょっとわかりにくいと感じるのですが、清水さんはどう思われますか。
難しいですね(笑)。
論理的にプログラムの手順を考えることも「プログラミング的思考」に含まれていると思いますが、それ以上に私が重視しているのは、「試行錯誤」です。
プログラムを頭の中で描いても、実際にコンピュータに打ち込んでみると、なかなか自分の思う通りにはいきません。
ひたすらミスを修正し、トライアンドエラーをくり返すのが普通です。
これは言い換えれば、「ミスをしてもいい」ということです。
日本ではさまざまな場面で、「ミスったらアウト」のような考えになりがちですが、少なくとも教育上でのプログラミングはそうではありません。例えて言うなら安全な庭の中で、試行錯誤ができるんです。
だから、どんどんミスして、そのミスをどうしたら克服できるか考える。そうした中で、メンタル的なタフさも身についていくのではないか、と考えています。
なお、具体的にどんな授業が行われるかは、東京都小金井市の前原小学校が一つの例になるかもしれません。
私も校長の松田孝先生のお話を聞いたことがあるのですが、プログラミング教育にとても熱心で、非常に先進的な授業が行われています。
ただ、全ての小学校で同じような授業が行われるとは限らないので、私たちも行政などと協力しながら、何かお手伝いができないかと思っています。