10月以降の子どもたちは、友だち関係が深まる半面、クラスがぎくしゃくしてくることがあります。
1〜3歳児は、友だちや年上の子がやっていることが気になりやってみたがります。ただ、うまくできないことが多い時期ですから、イライラしてかんしゃくを起こす子どももいるでしょう。
また、4〜6歳児は、子どもたちの能力差がはっきりとしてくるので、友だちや自分の「できない」にレッテルを貼る様子が見られることも。
10月以降は、子どもの友だち関係の深まりや言葉、観察力などの成長を感じる半面、クラスがぎくしゃくしやすく、保育者にとって手を焼く時期です。
でも、「こういう時期だからしかたない」と諦めないでください。
この時期に取り組むと、クラスのぎくしゃくが収まっていく遊びがあるのです。
それは、子どもたちそれぞれのやりたいことを持ち寄って遊ぶ「コラボ遊び」です。
この遊びをする際、「10〜12月で、支え合い・教え合うクラスのムードを作ろう」でご紹介した、「個々の子どもたちのスキルアップ」も同時に行うとより効果的ですから、以前の記事も合わせてお読みください。
さて、「コラボ遊び」に話を戻しましょう。
取り組みやすいのは、「魚釣りごっこ」から始める「コラボ遊び」です。
まず大きな青い模造紙を用意し、海に見立てます。そして、子どもたちの前で、釣竿と魚を作りましょう。釣竿は、以下の絵のように、ストローに折り曲げたモールをつけるくらいの簡単なものでOK。モールの釣り針は、釣りやすいよう大きめのフックにするとよいでしょう。
魚も簡単でOK。画用紙などに簡単に描いて、身体の中央に輪にしたモールなどをとりつけましょう。これを作っている間に、工作に興味がある子どもたちは、「何やってるの? やりたい!」と近づいてきます。
こうして加わった子どもと一緒に魚を釣ったり、魚の種類を増やしたりして遊びます。楽しそうに遊んでいるうちに、工作に興味がない子どもたちも、「楽しそうだなあ」と気になりだします。
そこで、この子どもたちも遊びに誘うのです。
車で遊んでいる子どもなら、「バスに乗って釣りにきてよ」と誘いましょう。「好きな車遊びも続けられるんだ」と喜んで、バスで魚釣りにきてくれるはずです。「じゃあ次は、〇〇くん(工作をしていた子)を乗せてやってきてよ」と頼めば、工作遊びをしていた子も、ストーリー遊びができてさらに楽しさが増します。
さらに「ままごとをしている子たちに、釣った魚で料理を作って、レストランを開いてもらおう!」と提案しましょう。
このように、それぞれの興味のある遊びを続けさせながら、関係性をつくっていくのが「コラボ遊び」です。
子どもたちは、この遊びをしたことをよく覚えていて、みんなうれしそうに思い出して「またやりたい」と言います。
それぞれの「好き」や「得意」を尊重しながらも遊べたという快感は、ぎくしゃくしていた友だちとの関係改善につながります。
また、「家をバスで出て、魚を釣って、美味しく食べました」というストーリー仕立ての遊びは、子どもの記憶力を育てる活動でもあります。ストーリーを作る楽しさを味わう体験は、年度末に多くの園で行われる劇活動の土台の力につながります。
劇活動については、以下の記事もご覧ください。