幼児教育デザイン研究所の記事「遊びに加わらない子がいるとき…。どう対応すればいい?」で、子どもがどんな気持ちで遊んでいるのか、何を楽しんでいるのかを感じとるためには、子どもの動きや発言をまねして、一緒に楽しんでみましょう、とお伝えしました。
これに関して、よく私がやっている「子どもの気持ちを探る方法」をサクッとご紹介しますね。
例えば、友だちを叩いたり、暴言を吐いたりしてAさんを泣かせてしまった5歳のBくん。でも、Bくんに事情を聞こうとすると、「うるせえ!」と言いながら、「俺は何もしてない」「すぐ先生は怒るんだから!」などと言って逃げたときのBくんの気持ちを知りたいとします。
そんなとき私は、その子に自分がなりきってみます。その子について知っていることを、自分の心と体にフル動員させるイメージです。
やりかたのイメージ
■Bくんの日々の行動や言葉、性格を思い出すか、紙や携帯のメモなどに書き出します。
<例>
・昨日絵本を読み聞かせていて、数分でも予定の時間を過ぎると、「ねえ、先生もう10時過ぎたよ! ねえ、聞いてるの? 先生!」と急かされた
・いつも、少しでもやり方が違う友だちがいると「違うよ! そうじゃないって」と細かく注意していて、そこから、友達に暴言を吐く、叩くなどしてトラブルになりやすい
・毎日友だちとトラブルを起こし、担任やそのほかの先生に怒られている
・言葉がきつい……など
■そのBくんの性格をイメージしながら、Bくんとのやりとりを再現してみます。
<例>
先生が近づいてきた、ああ嫌な予感。だって、怒った顔してるもん。この先生、また俺のことを怒るんだ。近くに来てほしくないや。「うるせえ!」「俺は何もしてない」「すぐ先生は怒るんだから!」
このように「なりきり」を実践してみると、例えばいつも保育者たちに頭ごなしに怒られているので「都合が悪い」と感じると反射的に逃げることに気づいたりします。
また、日々の生活の様子を見直すと、時間感覚や察知能力などがほかの子より抜き出ているからこそ、細かいことが気になってトラブルになっていることに気づいたりもします。
Bくんには「叱る前の表情で近づいてはいけない」ことや、「よく気づいたね。教えてくれてありがとう」とほめる機会もたくさんあったのに、今まで見逃していたことなどが見えてきます。
子どもに限らず、保育者・保護者、そのほか知り合いなどの気持ちを想像してみたいときにも使えるテクニックだと思いますので、ぜひ試してみてくださいね。