3・4歳児の7・8月からの保育「不ぞろいの育ちが目立ち始める時期にこそ取り組みたい6つのこと」

自立に向かう3・4歳児ですが、6・7月頃から一人ひとりの違いや能力差がはっきり目立つようになってきます。ハンディのある子どもや手のかかる子どもの存在も目立ち始めてくるので、クラスが落ち着かないと感じることが増えるかもしれません。

そんな時期だからこそ、手のかかる子どもも含めて一緒に過ごす保育の進め方に、本腰を入れて取り組んでほしいと考えます。

その具体的な方法は、次の6つの手順を行うことです。

6つの手順

1、手のかかる子どもに、お気に入りのものなどを用意して、その子どもの「拠りどころ」をつくりましょう。

2、園生活の流れをパターン化して、不安を軽減させましょう。また、その流れは楽しい絵や文字、図解などで示して、掲示しましょう。

3、毎日、「2」で示した通りに保育を行いましょう。もし、決まった流れや担当者が変わるときは、事前に保育者から子どもたちに事情を説明しましょう。特にアスペルガーの子どもには、丁寧な説明が必要です。

4、こだわりが強い子どもが一番苦手なのは、行事などの集団行動です。これらを行う際には、「1」のお気に入りのものの携帯玩具を、お守りのように持たせましょう

お気に入りのものの携帯玩具とは
車・電車・虫など、その子どもが気に入っているものをミニチュア版で作ったり、紙人形などにしたりします。
空き箱の中に、そのお気に入りの世界を作る(箱庭)、紙で作ったポケットのようなものに紙人形を入れるなどして、持ち運びを可能にすることがポイントです。
子どもは、不安になったときに、見たり触ったりして安心する、お守りとして使います。

5、この携帯玩具に、クラスの子どもたちはおのずと興味を示します。この携帯玩具が、クラス全体の共有の表現遊びになることを目指すと、手のかかる子どもとそれ以外の子どもたちが、一緒に同じものを作って遊ぶという活動が展開できます。不ぞろいでありながら、調和が成り立つということです。

つまり、この携帯パックは、ほかの子どもたちも興味をもつように、保育者が意図して制作し、子どもに渡すことが大切なのです。

6、グループで遊んでいるクラスの子どもたちの中のうち一人をターゲットとして選び、その子どもに丁寧に関わります。「〇〇を作りたい」という要望に応え、作り方やテクニックなどを丁寧に教えます。

そのターゲットの子どもの作ったものや能力などを、周りの友だちが「すごい!」「自分もやってみたい!」「どうやってやるの?」などと反応を示すまで待ちましょう

そのときターゲットの子どもに、「友だちに教えてあげて」と促しましょう。ターゲットの子どもは、保育者にしてもらった丁寧な関わりを手本に、友だちに優しく丁寧に教えるようになります。

この積み重ねで、手のかかる子に保育者が時間を割いて対応する必要が出てきた場合でも、ターゲットの子やクラス全体の子どもたちが認め合い、おだやかな空気を保ちながら、自分たちの活動を継続するようになります。

「6」の活動では、ターゲットの子だけではなく、それぞれの子のすてきなところをきちんとほめて自己有能感を育てることも大切です。保護者にも、子どものよいところを伝え、一緒に認め育てる雰囲気をつくりましょう。