5・6歳児1年間の保育のポイント

やるべきこととやりたいことをコントロールする力を養おう

思考、判断、記憶、感情などを司る大脳が、大人とほぼ同じ程度までに成長する6歳児。自分で考えて行動したり、気持ちをコントロールして物事をやり抜いたり。「やるべきこと」と「やりたいこと」をコントロールしながら行動する能力が備わっていく時期です。

とはいえ、これらの力は、自然と身につくものではありませんし、身につけるまでにかなりの時間と力を要します。特に5・6歳の1年間では、意識的にコントロール力を育てましょう。

園生活での「やりたいこと」とは、自由な遊びなど子ども自らやりたいと思っていることです。「やるべきこと」とは、当番やグループ活動をさぼらずやることなどです。この「やりたいこと」と「やるべきこと」をコントロールする力は、どう育てていけばよいのでしょうか。この力の育て方が上手だった、ある保育者の活動例を紹介します。

やりたいことをやるために、やらないといけないことをいつやるか、計画させる

この保育者は、グループ制作の課題を子どもに与え、「やりたいこと(遊び)をやるために、やらなければいけないこと(グループでの制作課題)はいつやる? 1日の中でいつやってもいいから、みんなで相談して予定を立ててね」と声をかけます。そして、設計図、計画表、取り組む時間を示す紙製の時計を作らせて全員が見えるところに掲示しました。それを子どもたちが見て、友達同士で声をかけ合いながら、完成を目指しました。

「2日に1回長時間取り組み、1日はしっかり遊ぶグループ」や「毎日コツコツやるグループ」など、進め方に子どもたちそれぞれの性格・個性が反映されます。

また、ほかのグループの掲示物を見ることで、さまざまな取り組み方があることに気づけます。さらに、小学校や社会で必要な仕事と生活や遊びを両立させるまでの進め方を、身につけられます。

いつも保育者主導で、「やるべきこと」ばかりさせる保育は、言われたことしかできないうえ、自分のやりたいことを見つけられない子に育ってしまいます。偏りにも注意しましょう。

※ちなみに…

5歳までに、常にわがままを容認されてきた子どもの場合、5・6歳で突然協調性やがまんを求められても、気持ちがコントロールできないことがあります。4・5歳から、少しずつがまんの体験をしていく必要があります。

写真提供:ペイレスイメージズ